代表 小谷野幹雄のブログ

2021年02月04日電子メールが電話化 ~非効率の深行~

小谷野です。

 

 昭和の時代に、目の前の仕事への集中を妨げたのは、電話でした。
金融マンであった私は毎日、様々な企画書・営業資料・顧客提案資料の作成に没頭していました。

しかし、支店からの質問対応が日に20件以上もあり、時間を問わず電話がかかってきます。

結果、昼間は仕事効率が著しく悪化し、電話が収まった夜や休日が、作業に集中できる時間でした。
 平成に入って電子メールが普及し、自分が決めた時間に質問などの処理が一括してできるようになったのは、

ノーベル賞級の発明と感じました。仕事の効率性に大きく貢献することが明白でした。

 

しかし最近は、このメールの効率性が、低下しているようです。

 

<電子メールは自分で見にいく>
  社員のメールの返信が、早いことが気になります。秒速的な場合もあり驚きます。
外出先で返信が早いということは、移動中などにメール処理をして効率的な活動をしているのでしょう。
しかし、目の前に集中すべき多くの作業を抱えているはずの、社内にいる社員までも返信が早いのです。
メールの受信トレイを常にチェックし、メール到着の通知画面(*)への対応を瞬時にしているそうです。

ポップアップ通知機能をオフにし、「時間を決めて、電子メールは自分で見に行くもの」を徹底しない限り、

昭和の時代に集中力を削がれた電話と全く同じ問題を起こしています。

 

(*)Windows10から、メールが到着すると全ての画面に優先してメール到着通知画面が

       ポップアップするのが標準設定のようです。

 
<電子メールのSNS化>
 SNSでは、受信するとすぐに返さないと仲間から叱られる、と言って秒速で返信している人達をよく見かけます。

同じように仕事の電子メールも返信を秒速で行う『Quick Response』が美徳と信じている人もいるようです。

営業職や顧客窓口業務など職種によっては真実かもしれませんが。

 

 また、仕事の電子メールにポップアップ通知機能があるので、チャットソフトと同じ使い方をして同時に複数人の

仕事を邪魔している人間もいて驚きます。

 

<電子メールと緊急性>
 秒速で返信が必要な内容を電子メールで通常は送りません。本当に急ぐ場合は電話、社内であれば

用事のある人の席まで出向きます。メールの返信が1時間後、2時間後であっても通常はトラブルになりません。

 

<マルチタスクは成績が悪い>
 メール返信は、早いことが美徳であり、受信トレイを見ながら仕事をするのは、マルチタスクができる

優秀なビジネスマンの証ではないかという意見があります。
 これは、スタンフォード大学などの研究結果を引用するまでもなく、機械ではない人間は一つのことしか

一時にできません。

 

マルチタスクとは、「作業と作業の間の移動」を行っているだけで、同時にはできません。

マルチタスク派は集中力なく重要でない情報にも振り回され、気が散る傾向があり、

成績が悪いという研究結果があります。
 

 

     「人間はマルチタスクが苦手だ。
       得意という人は、自分を騙しているだけだ。」
        アール・ミラー(マサチューセッツ工科大学、神経科教授)

 

 

~非通知設定のLINE(家族用)でいつも叱られる、小谷野でした~

 

 

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