代表 小谷野幹雄のブログ

2021年09月09日コンセプト化が苦手な日本 ~日本式経営の逆襲~

小谷野です。

 

米国発の経営理論が世界標準であり、日本の経営は世界で遅れを取っていると言われます。これに疑問を感じた、慶応大学の岩尾俊兵氏は、「日本“式”経営の逆襲(2021.6日経BP/日本経済新聞出版本部)」で分析と提言を行っています。

 

【世代ギャップ】

私が米国にMBA留学した30年前は、世界的なベストセラー「Japan As No.1」の余韻が残る時代で、米国ビジネススクールでも様々な日本企業の経営技術が授業で取り上げられました。現在では日本の経営技術を取り上げる機会は少ないようで、世代によっては、日本源流の経営技術にもかかわらず、米国から生まれた理論と信じているケースも多いようです。

 

「KAIZEN(改善)」に関する書籍は世界的にベストセラーにも成りましたが、日本源流のTQC(Total Quality Control品質管理活動)は、今や米国発のコンセプトに変わりつつあるそうです。

 

【コンセプト化されて逆輸入される日本経営技術】

「両利きの経営」:既存分野での改善と、新しい分野での新たな能力、知識獲得を同時追求すること。

ほかにも「リーン(筋肉質)・シンキング」「リーン・スタートアップ」「ボトル・ネック」「フロント・ローディング(初期段階での負荷)」「アジャイル開発(迅速)」なども日本(多くはトヨタの生産方式)が源流とのことです。

 

【論理化、コンセプト化に強みの米国】

経営技術は抽象化され、論理モデル化されることによりコンセプトとなります。

 

私が米国ビジネススクールの授業で驚いたのは、トヨタが開発した「カンバン方式」に代表される「ジャストインタイムシステム」を、発注頻度、発注コスト、在庫コスト、材料の運送コスト・・・・数多くの項目を計数化して、最適化を探すなど、日本で学ぶ経営学より、緻密で、論理展開され、効率的生産のコンセプトが明快だったことでした。

 

【産官学に必要な努力】

日本語という特殊な言語の集団で、民族的な多様性がなく、濃密な人間関係に基づいたチームワーク重視の経営を行ってきた日本企業は、コンセプト化、抽象化、論理モデルを構築し、他者を説得する必要がなかった歴史がありますが、今後は多様な環境を前提に、産(企業)官(行政)学(大学)は、日本の経営技術の抽象度を高めて論理モデル化、コンセプト化する努力が必要と筆者は説いています。

 

~遊びも論理化・コンセプト化、小谷野でした~

 

 

 

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