代表 小谷野幹雄のブログ

2021年09月24日「論語と算盤」~渋沢栄一~

小谷野です。

 

今年のNHKの大河ドラマ「青天を衝け」が盛り上がりを見せています。

渋沢栄一は、尊皇攘夷の志士から幕臣に、明治政府の官僚から実業家に転身し、生涯で約500の会社に関わり、約600の病院、福祉、教育など社会事業に関わったそうです。

 

悪化した日米関係の友好活動等への評価で、ノーベル平和賞の候補に2度なっています。

2024年には新1万円札の顔になります。

 

この渋沢栄一の行動原理を「渋沢栄一『論語と算盤』の思想入門」(NHK出版新書2020.12 守屋淳)が解き明かそうとしています。

「算盤」とは、商売や経済、私利といったビジネスを象徴しています。

 

「合本主義」:渋沢栄一の考えで、公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させることをいいます。

資本主義で言う、「市場」「労働」「投資」に「公益」が追加されているのが特徴です。

孔子の「行動に際して、義(公益)を優先させるのが君子、利(私利)を優先させるのは小人である」と解釈されたようです。

 

明治以降、三菱、三井、安田、住友などの財閥が日本経済の柱でありましたが、渋沢栄一は「義(公益)」を優先し、個人やファミリーで形成する「渋沢財閥」は創りませんでした。

 

「論語の時代に合った読み替え」孔子は「富は必要だが追い求めるものではない」と説きますが、渋沢栄一は、「富や地位は若者も求めるべきであるが、獲得する手段や方法が重要である」と解釈し、学問を学び、成果を出し、自分を磨き、道徳を身につけることが前提であると説きます。論語という2500年前の言行録を、その時代に合った解釈で読み替えるのが渋沢栄一流でした。

 

「論語と算盤」は、SDGsやESG(*)が連呼される現代においても考えさせられます。

 

今年6月に発表された東京証券取引所の今年のガバナンスコード(企業統治指針)にもサステナビリティ(持続可能な開発)を大きく取り上げ、人権の尊重、労働の環境などが追加されました。

 

昨今は、どんなに安くて品質の良い製品を作っても、脱炭素社会の実現に貢献している製品であるのか、過酷な労働下での製品でないこと等を証明しなくては、市場で製品が売れない時代となっています。

 

(*)SDGs:Sustainable Development Goals/ESG: Environment, Social, Governance

 

~60歳で人の話を素直に聴けるようになった(耳順:孔子名言より)か? 小谷野でした~

 

 

 

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