会計・税務の知識

2025年10月02日 発行経産省による令和8年度税制改正要望

はじめに

 

今年も各省府庁からの税制改正要望が公表されました。

本稿では、とりわけ企業経営に影響の大きいと思われる経済産業省の「令和8年度税制改正に関する経済産業省要望のポイント」のうち主なものをご紹介します。

 

 

 

 

1.国内投資促進及び産業基盤整備

 

(1)大胆な投資促進税制の創設

国内投資の拡大を通じて、日本企業の「稼ぐ力」を向上させ、賃上げを含めた好循環を形成するため、5年間を集中投資期間と位置づけた上で、高付加価値化のための大胆な設備投資を促進する税制を創設する。

 

(2)パーシャルスピンオフ税制の延長等

現行のパーシャルスピンオフ税制について、スタートアップの創出だけでなく、ノンコア事業を切り出し、コア事業に専念するための事業ポートフォリオの組替えも促進できるよう、見直しを行う。

 

 

2.研究開発・イノベーション投資の促進

 

(1)研究開発税制の拡充・延長

中長期的に企業の研究開発投資の増加を促し、国際的に遜色のないイノベーション立地競争環境を確保するためのインセンティブの強化が必要であり、我が国の戦略技術領域に対する研究開発投資を拡大し、大学等における戦略研究拠点との産学連携を促進する見直しを行う。

 

(2)中小企業技術基盤強化税制の拡充・延長

より多くの中小企業における研究開発投資を一層後押しする観点から、控除率の見直し等、企業の研究開発投資の増加を促すためのインセンティブの強化に向けた見直しを行う。

 

(3)中小企業の研究開発投資にかかる特例措置の創設

赤字や利益が少ない企業も含めた中小企業における研究開発投資を一層後押しし、収益力の向上を図る観点から、中小企業による研究開発に係る設備投資拡大に向けた所要の措置を創設する。

 

(4)オープンイノベーション促進税制の延長等

スタートアップの出口戦略の多様化の観点も踏まえ、オープンイノベーション促進税制(スタートアップの株式取得価格に対する25%の所得控除)の延長等を行う。

 

(5)外国組合員に対する課税の見直し

海外投資家が、日本に無限責任組合員(GP)がいるファンドに有限責任組合員(LP)として出資する際、一定の要件を満たす場合は、ファンドを通じて得た国内源泉所得に対して非課税とする措置について、その要件及び手続きの見直しを行う。

 

 

3.中小企業等の承継・成長促進、地域経済活性化

 

(1)事業承継税制に係る特例承継計画の期限延長等

経営者の高齢化の進展等を踏まえ、中小企業の事業承継を後押しし、生産性向上・成長を支援する観点から、法人版(特例措置)及び個人版事業承継税制(贈与税・相続税ともに100%を猶予)について、承継計画の提出期限延長を行う。また、事業承継による世代交代の停滞や地域経済の成長への影響に係る懸念も踏まえ、事業承継の在り方について検討する。

 

 

4.国際課税への対応

 

(1)国際課税制度への対応、外国子会社合算税制拡充

国際課税環境の変化等を踏まえ、グローバル・ミニマム課税及び既存の類似措置である外国子会社合算税制について、海外展開を行う日本企業の負担軽減を図る観点等から見直しを行う。

 

(2)国境を越えたEC取引に係る消費課税にかかる検討

国内外の事業者間における課税の公平性や競争条件の中立性確保の観点から、国境を越えたEC取引に係る消費税の課税の在り方について検討する。

 

 

 

 

おわりに

 

上記はあくまで要望であるため、実際に改正に盛り込まれるかは年末を待つ必要があり、詳細も不明ではありますが、新制度の創設がいくつか挙げられており、今後の動向が注目されます。

 

(担当:長谷川)

 

 

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