会計・税務の知識

2025年10月08日 発行給与・報酬についての源泉徴収義務

はじめに

 

事業を行う上で、役員・従業員への給料や賃金、個人事業主への報酬の支払いをされていると思います。

今回は(1)給料の支払った際、(2)報酬・料金等へ支払った際の源泉徴収義務についてのご紹介をいたします。

 

 

 

 

1.源泉徴収制度の意義

 

所得税は、所得者自身が、その年の所得金額とこれに対する税額を計算し、これらを自主的に申告して納付する、「申告納税制度」が建前とされていますが、これと併せて特定の所得については、その所得の支払の際に支払者が所得税を徴収して納付する源泉徴収制度が採用されています。

この源泉徴収制度は、(1)給与や利子、配当、税理士報酬などの所得を支払う者が、(2)その所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、(3)支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付するという制度です。

 

 

2.給与所得の源泉徴収義務

 

(1)概要

 

 給与所得に対する所得税及び復興特別所得税については、いわゆる源泉徴収制度を採用し、給料や賃金等の支払者が給与を支払う際に、支払額に応じた所得税及び復興特別所得税をその給与から差し引いてこれを国に納付するとともに、年末において年末調整を行い、その年中の給与の総額に対する年税額と給与の支払の都度差し引いて納付した源泉所得税及び復興特別所得税の合計額とを対比して、過不足額の精算をすることとし、給与所得者が申告納税をする手数を省くこととしています。

 

(2)納付期限

 

 給与を支払った月の翌月10日(納期の特例の承認を受けている場合には7月10日と翌年1月20日)までに、e–Taxを利用して納付するか又は「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて、最寄りの金融機関若しくは所轄の税務署の窓口で納付します。

 ※なお納付期限の日が、休日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。

 

 

3.報酬・料金等の源泉徴収義務

 

(1)源泉徴収の対象とされている範囲(一部抜粋)

所得の種類と範囲

次に掲げる報酬・料金、契約金、賞金等

 (1)原稿料、デザイン料、講演料、放送謝金、工業所有権の使用料、技芸・スポーツ・知識等の教授・指導料など

 (2)弁護士、公認会計士、税理士等の報酬・料金

 (3)社会保険診療報酬支払基金から支払われる診療報酬

 (4)外交員、集金人、プロ野球の選手、プロサッカーの選手等の報酬・料金

 (5)芸能、ラジオ放送及びテレビジョン放送の出演、演出等の報酬・料金並びに芸能人の役務提供事業を行う者            が支払を受けるその役務の提供に関する報酬・料金

 (6)バー・キャバレー等のホステス、バンケットホステス・コンパニオン等の報酬・料金

 (7)使用人を雇用するための支度金等の契約金

 (8)事業の広告宣伝のための賞金及び馬主が受ける競馬の賞金

 

(2)納付期限

 

  所得を支払った月の翌月10日までに納付しなければならないことになっています。ただし、上記表の(2)に該当する源泉所得税については、納期の特例によって納付することもできます。

 ※なお納付期限の日が、休日に当たる場合には、その休日明けの日が納付期限となります。

 

 

 

 

おわりに

 

今回はご紹介できませんでしたが「非居住者又は外国法人への支払」を行った際にも、源泉徴収義務が発生する場合がございます。見落とす場合が多いため、実際に触れた際はお気をつけください。

 

 

参考HP:国税庁 令和7年版 源泉徴収のあらまし

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2024/index.htm

 

(担当:広地)

 

 

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