はじめに
令和5年10月1日からスタートしたインボイス制度ですが、インボイス制度に関するQ&Aが国税庁から発信されており、随時改定が行われています。
今回は、その中から令和7年度になって追加・訂正された項目を抜粋してご紹介いたします。
問24-5(適格請求書の交付にあたっての期間制限)
小売業を営んでいる適格請求書発行事業者が適格簡易請求書をレジにて代金を収受する際にレシートの形式で交付しており、後日、レシートを亡失したとして、顧客から再交付を求められることがあります。レジシステムでは90日間しかレシートの再発行ができず、その期間を過ぎた場合にはどうしたらよいか。
【答】適格請求書発行事業者は、取引の相手方である課税事業者からの求めに応じて適格請求書を交付する義務が生じます。この交付義務については、適格請求書発行事業者が行った課税資産の譲渡等につき、課税事業者からの求めに応じて生じるものであり、商品の販売時に適格簡易請求書を交付しているのであれば、一義的にはその時点で交付義務を果たしていることになりますので、後日交付を求められた際に、改めて交付する義務が生じることはありません。
問72-2(適格請求書の記載事項のインターネットでの公表)
適格請求書発行事業者が交付する領収書において、ホームページのURLを案内しておき、当該URLに適格請求書の記載事項の一部である適格請求書発行事業者の名称及び登録番号、適用税率を表示した上で、当該領収書を受領した事業者においていつでも確認可能な状態にしている場合、このような方法により、適格請求書の記載事項を満たすことは可能か。
【答】適格請求書は、一の書類のみで全ての記載事項を満たす必要はなく、書類相互(書類と電磁的記録)の関連が明確であり、適格請求書の交付対象となる取引を正確に認識できる方法で交付されていれば、複数の書類や、書類と電磁的記録の全体により、適格請求書の記載事項を満たすことになります。なお、適格請求書の記載事項に係る電磁的記録の提供は、インターネット上のサイトを通じた方法も可能とされていますが、基本的に、取引に応じて交付した領収書等とは関係なく、適格請求書の記載事項の一部を自社のホームページに掲載しておくだけでは、当該領収書等と電磁的記録の相互の関連が明確とはいえません。ただし、ご質問のように、領収書等にインターネット上のページに係るURLを表示しておき、当該URLにアクセスすることで適格請求書の記載事項として不足する事項が補完されるのであれば、相互の関連が明確であるものとして、双方の記載を合わせて適格請求書の記載事項を満たすこととして差し支えありません。また、当該領収書等を受け取った事業者においては、仕入税額控除の適用を受けるため、ホームページの該当箇所を電磁的記録により(又は書面に整然とした形式及び明瞭な状態で出力し)保存する必要があります。
問26-2(免税事業者の交付する請求書等)
免税事業者である個人事業者のケース。適格請求書等保存方式においては適格請求書発行事業者しか適格請求書を交付できないが、免税事業者はこれまで交付していたような請求書や領収書等を交付することはできないのか。
【答】適格請求書等保存方式において、適格請求書を交付することができるのは適格請求書発行事業者に限られます。他方、適格請求書発行事業者以外の者であっても、適格請求書に該当しない(適格請求書の記載事項を満たさない)請求書及び領収書等の交付や、それらに記載すべき事項に係る電磁的記録の提供を行うことは、これまでと同様に可能です。また、免税事業者であっても、仕入れの際に負担した消費税相当額を取引価格に上乗せして請求することは適正な転嫁として、何ら問題はありません。
おわりに
今回ご紹介したものは問いと回答を抜粋したものであるため、詳しくは下記リンクにてご確認ください。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf
(担当:今野)