代表 小谷野幹雄のブログ

2019年12月05日音楽と絵画コンサート~ピアノ奏法~

小谷野です。

私の今年の追っかけ対象、盲目の天才ピアニスト辻井伸行さんのコンサートへ再び行ってきました。

今回の企画は「音楽と絵画コンサート」、印象派の代表的な画家たちの絵画を投影しながら、

印象派と同じ時代の作曲家ドピュッシーとサティの作品をピアノで聴かせる企画でした。

余談ですが、印象派絵画は現在、三菱一号館美術館の吉野石膏コレクション展で

沢山の作品を楽しめます。

 

 

ところで彼の奏でるピアノの、鍵盤の上の指の動きを生の面前で見ましたが、

鍵盤を「叩く」動きがなく、鍵盤に吸い付くような動きで、強も弱も激しさも優しさも、

幅広い音が出ることに驚きました。

昭和世代の私には、強く激しい調子には、ピアニストの動きは大きく、

高く上げた指を大きく振り下ろして鍵盤を叩く姿が頭に焼き付いているからです。

この私の疑問に答えてくれる文献を見つけました。

神戸大学 大地宏子さんの2002年の博士論文です。

 

『ハイフィンガー奏法による日本のピアノ教育の系譜』

(抄)指を高く上げるハイフィンガー奏法は、日本のピアノ教育界では長い間模範的なピアノの弾き方と信じられてきた・・・

浅い耳障りの音になる・・・著名のピアニストの輩出も難しい・・・

そして現在は、指を高く上げずに鍵盤を押さえ込む、揉み込む奏法が主流だそうです。

深い世界の話は素人には難しいですが、少し合点がいきました。

 

コンサートの翌日、辻井さん親子の伝記『今日の風、なに色?』を購入しました。

お母さんの言葉「(生まれつき盲目の息子が誕生し)絶望と不安しかなかった新米の母親だった私に、

一筋の光を与えてくれたのは、音楽でした。その光の差す方に向かって伸行と私は

二人三脚で歩いてきました。」

 

ピアノを通じて世界中の人と繋がったことへの感謝の念を読むと、

五体満足な自分の努力不足への反省の念も生まれました。

 

 

《ピアノと呼ぶのは何故》
「ピアノ(弱)・フォルテ(強)」、通称ピアノと言われますが、

このイタリア語の「弱・強」の意味が長年不明でした。

ピアノはイタリアで1709年に発明されたと言われています。

ピアノ発明以前は、似ていますがチェンバロという鍵盤楽器でした。

チェンバロは弦をはじいて音を出すので強弱が難しく、一方ピアノは弦を打つので、

打鍵の強さをコントロールでき、強弱を表現しやすいそうです。

正式な名称は「クラヴィチェンバロ・コル・ピアノ・エ・フォルテ」つまり、

音の強弱が出せるチェンバロという名前が短縮化されてピアノと呼ばれるようになったようです。バッハやヴィヴァルディなどの古典演目は、チェンバロを念頭に作曲されているので、

コンサートでもピアノではなくチェンバロが使われるのですね(今頃)。

 

~ クラシック超ビギナー、小谷野でした ~

 

 

 

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