会計・税務の知識

2026年01月29日 発行事業所得と業務に係る雑所得の区分について

はじめに

 

 個人の所得は、その発生形態などに応じて10種類に分類されます。

 今回はその中で事業所得と業務に係る雑所得の区分について解説いたします。

 

 

 

1.事業所得の定義

 

 卸売業や小売業などの多種多様な業種から生じる営業等所得と、農産物の生産や果樹の栽培などの農業所得が該当します。

 青色申告の方であれば青色申告決算書によって、白色申告者であれば収支内訳書によって(総収入金額)-(必要経費)で事業所得を計算します。

 

 

 

2.業務に係る雑所得の定義

 

 原稿料、講演料、シルバー人材センターやシェアリングなどの副収入による所得が該当します。

 (業務に係る雑所得の収入金額)-(必要経費)で業務に係る雑所得を計算します。

 前々年の業務に係る雑所得の収入金額が(1)300万円を超える場合、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があり、(2)1,000万円を超える場合、(1)に加えてその年分の確定申告書に収支内訳書を添付する必要があります。

 事業所得と異なり、所得が赤字となっても損益通算はできないこととなります。

 

 

 

3.事業所得と業務に係る雑所得の判定

 

 所得を得るための活動の規模によって判定され、当該活動が事業的規模である場合には事業所得に、事業的規模でない場合には業務に係る雑所得に区分されるという関係にあります。

 また、事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定します。

 社会通念上とは、東京地判昭和48年7月18日では、「営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費やした精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」と判示しています。

 なお、その所得に関わる取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に関わる収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く)には、業務に係る雑所得となります。

 

 

 

4.業務に係る雑所得の定義

 

 記帳・帳簿書類の保存がある場合には、一般的に事業所得に区分される場合が多いと考えられますが、以下の二つの場合には、事業と認められるかの個別の判断が必要となります。

 

 (1)その所得の収入金額が僅少と認められる場合

 その所得の収入金額が、例年、300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。

 ※例年とは、おおむね三年程度の期間です。

 

 (2)その所得を得る活動に営利性が認められない場合

 その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するための取組みを実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます。

 ※赤字を解消するための取組とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動をいいます。

 

 

 

おわりに

 

 事業所得と雑所得では、損益通算の有無などにより事業所得が有利となります。

 営利性などの要件を総合的に判断することで、適切な所得区分での申告が可能となります。

(担当:和田)

 

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