会計・税務の知識

2020年11月12日 発行所得税の予定納税について

はじめに

 

所得税の確定申告について、3月に申告をして納税したはずなのに、7月と11月にも所得税を

納税することがあるのはなぜですか、というお問い合わせを頂くことがあります。

この7月と11月に納税することを予定納税といい、確定申告をした場合で一定額以上の基準を

満たすときはこれを行うこととされています。

 

 

1.予定納税とは

 

予定納税とは、前年分の所得税が一定額を上回った場合に、その年の所得税及び復興特別所得税(以下、「年間所得税額」)

の一部をあらかじめ納付するという制度です。

予定納税をするかしないかの選択や、予定納税額は自分で自由に決められるものではなく、前年分の確定申告の納税額に

応じて決められます。

予定納税が必要な方には、6月15日までに「令和〇年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の通知書」という書面が

税務署より送付されます。

 

 

2.予定納税の義務がある場合

 

予定納税の義務は、その年の5月15日現在において確定している前年分の所得金額や税額などを基に計算した

金額(予定納税基準額)が15万円以上である場合に必要となります。

 

 

3.予定納税は年2回あります

 

予定納税は、予定納税基準額の3分の1の⾦額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、

第2期分として11月1日から11月30日までにそれぞれ納めることになっています。

 

 

4.確定申告書には予定納税額の記載を忘れずに

 

予定納税額は「年間所得税額」の前払ですので、確定申告の際には、申告書に予定納税額(第1期分と第2期分の合計額)

を記載する必要がありますので、記載忘れにご注意ください。

なお、予定納税はあくまで前払ですので、結果的に「年間所得税額」が「予定納税額」よりも少なくなった場合は、

還付を受けることができます。

 

 

5.納付方法

 

税務署から郵送された納付書により金融機関等で納付するほか、インターネットを利用して専用のWeb画面から

クレジットカードにより納付することもできます。

納期の最終日に指定の金融機関の預貯金口座から自動的に引き落とされる振替納税という方法もあります。

 

 

6. 予定納税の減額申請

 

その年の6月30日の現況での申告納税見積額が予定納税基準額よりも少なくなる人は、7月15日までに

所轄の税務署長に「予定納税額の減額申請書」を提出して承認されれば、予定納税額は減額されます。

なお、第2期分の予定納税額だけの減額申請は11月15日までです。

(この場合には10月31日の現況において見積もることとなります。)

税務署では、その申請について承認、一部承認又は却下のいずれかを決定し、その結果を書面でお知らせします。

           

 

おわりに

 

補足ですが、上記における「申告納税見積額」「予定納税基準額」とは下記の通りです。

 

申告納税見積額 (1)から(2)を控除した金額となります。
(1)

その年分の課税総所得金額、申告分離課税を選択した上場株式等に係る課税配当所得の金額、課税短期譲渡所得金額、課税長期譲渡所得金額、一般株式等に係る課税譲渡所得等の金額、

上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額、先物取引に係る課税雑所得等の金額及び

課税山林所得金額の見積額に係る所得税額

(2) (1)の基礎となった各種所得に係る源泉徴収税額見積額
予定納税基準額 (1)から(2)を控除した金額となります。
(1)

前年分の課税総所得金額に係る所得税額及び上場株式等に係る課税配当所得の金額に係る

所得税額の合計額(譲渡所得の金額、一時所得の金額、雑所得の金額又は雑所得に該当しない臨時所得の金額はなかったものとし、災害減免法第2条による減免があった場合には、なかったものとして計算した額)

(2)

(1)の基礎となった各種所得に係る源泉徴収税額(一時所得、雑所得又は雑所得に該当しない

臨時所得に係る源泉徴収税額を除く)

 

(担当:新谷)

 

 

 

PAGETOP

お問い合わせ