会計・税務の知識

2021年02月12日 発行(税制改正特集)カーボンニュートラル投資促進税制

はじめに

 

2021年度税制改正大綱において、「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制」の創設が盛り込まれました。

今回はその税制の内容について記載します。

 

 

1. カーボンニュートラルに向けた投資促進税制の概要

 

カーボンニュートラルとは、地球上の炭素(カーボン)の総量に変動をきたさない、CO2の排出と吸収がプラスマイナスゼロになるようなエネルギー利用のあり方やシステムの社会実装を指す概念であり、2050年までの実現が政策目標として掲げられております。

カーボンニュートラルの実現のため、脱炭素に向けた投資を促進する観点から、脱炭素に寄与する設備の取得等をサポートする税制が創設されました。

要件に該当する設備を取得すると、最大で取得価額の10%を法人税額から控除することが出来るようになります。

 

 

2. 税制の内容

 

(1)適用要件等

対象

 

青色申告法人

 

要件

 

産業競争力強化法の改正法の中長期環境適応計画(仮称)の認定を受けたもので、対象設備の取得等をして、国内にある事業の用に供すること

 

対象設備

 

中長期環境適応生産性向上設備(仮称)※1

 

 

中長期環境適応需要開拓製品生産設備(仮称)※2

 

限度額

 

取得価額の合計額500億円

 

措置内容
(選択適用)

 

特別償却 取得価額×50%

 

 

税額控除 取得価額×5%
(温室効果ガスの削減に著しく資するものは取得価額×10%)※3

 

 

※1 産業競争力強化法の生産性向上設備等のうち、生産工程の効率化による温室効果ガスの削減その他の中長期環境適応(仮称)に用いられるものをいう

 

※2 中長期環境適応に用いられる製品であって、温室効果ガスの削減に資する事業活動に特に寄与する製品その他の我が国事業者による新たな需要の開拓に寄与することが見込まれる製品として、主務大臣が定める製品の生産に専ら使用される設備をいう

 

※3 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制の税額控除制度による控除税額との合計で、当期の法人税額の20%を上限とする

 

(2)適用時期

 産業競争力強化法の改正法の施行の日から2024年3月31 日までの期間

 

 

3. その他関連する税制

 

(1)繰越欠損金の控除上限を引き上げる特例

 新型コロナ感染症の影響等により欠損金を抱える事業者が、カーボンニュートラル投資を含む産業競争力強化法の計画認定制度に基づき投資を行った場合、時限措置として欠損金の控除上限を、投資額の範囲で、50%から最大100%に引き上げる。  

 ただし、2020年4月1日から2021年4月1日までの期間内の日を含む事業年度に生じた欠損金が対象であり、適用期間は最長5事業年度である。

 

 (2)研究開発税制の拡充

2020年2月1日前の最後に終了した事業年度に比べて売上金額が2%以上減少していても、カーボンニュートラル投資を含む試験研究費を積極的に増加させている企業は、研究開発税制の控除上限を法人税額の25%から30%までに引き上げる。

 

 

おわりに

 

今回の税制創設により、カーボンニュートラルに向けた投資が拡大すると考えられ、今後の動向が注目されます。              

(担当:福井)

 

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