会計・税務の知識

2021年04月01日 発行事業所税について

はじめに

 

事業所税は一定規模の事業所面積、従業者数をもつ法人、個人に対し課せられる地方税のため、あまりなじみのない方もいるのではないでしょうか。そこで今回はこの事業所税について説明いたします。

 

 

1.概要

 

事業所税は都市環境の整備改善事業に充てるための目的税として昭和50年に創設されました。

課税対象は事業所の延床面積を課税標準にする「資産割」と従業者の給与総額を課税標準とする「従業者割」とがあります。地方税法に定める指定都市等で事業を行うものが課税対象者となり、東京都では特別区(23区全体で計算する)、武蔵野市、三鷹市、八王子市、町田市などが該当します。

 

 

2.納税義務

 

指定都市等において事業を行う法人の事業年度末日(個人は12月31日)現在において、次のいずれかに該当するものは申告、納付を行う必要があります。

(1)同一指定都市等内の事業所床面積の合計が1,000㎡(免税点)を超える場合

(2)同一指定都市等内の事業所の従業者数の合計が100人(免税点)を超える場合

 

 

3.申告、納付期限

 

(1)法人は事業年度終了の日から2月以内、個人は3月15日までに申告、納付をする必要があります。

(2)中間納付制度、申告期限の延長制度はありません。

(3)事業所税の特徴として納税義務がない場合であっても、次のいずれかに該当するときは申告書を提出する必要があります。

 ①前事業年度に納税義務を有していた場合

 ②事業年度末日において事業所等の床面積の合計が800㎡を超える場合

 ③事業年度末日において事業所等の従業者数の合計が80人を超える場合

 

 

 4.税額の計算方法

 

 税額=(1)+(2)の合計額(100円未満切捨)

  (1)資産割額=事業所床面積(㎡)×600円

  (2)従業者割額=従業者給与総額×0.25%

 

 

5.資産割の免税点判定、課税標準

 

(1)資産割の免税点判定

同一指定都市等内の事業所床面積の合計が1,000㎡以下である場合には資産割は免除されます。事業所等の新設、廃止があった場合は面積の月割計算はせず、算定期間末日の現況により免税点判定します。

なお、事務所等を賃借している場合は、専有部分の他に廊下などの共用部分の面積を含める必要があります。共用部分の面積は、契約書に記載されていないことが多いため、ビル管理会社などに問い合わせて共用部分の面積を確認する必要があります。

(2)資産割の課税標準

算定期間が1年未満の場合、算定期間中に事業所等の新設や廃止があった場合には課税標準の計算において月割計算を行います。月数の算定は暦に従って計算し、1月に満たない端数が生じたときはこれを1月とします。

 

 

6.従業者割の免税点判定、課税標準

 

(1)従業者割の免税点判定

同一指定都市等内の従業者数が100人以下である場合は従業者割が免除されますがその判定時期は算定期間の末日によります。ただし、その判定期間中に従業者に著しい変動があった場合(算定期間の各月の末日の従業者数の最大人数が最少人数の2倍を超える場合)には次の算式により算定した人数により判定します。

 

 

なお、従業者とは役員(無給の役員を除く)、従業員、日雇いの臨時社員などを含み、パートタイマー(勤務時間が正規従業者の4分の3未満の者)を除きます。

(2)従業者割の課税標準

従業者割の課税標準である従業者給与総額とは役員、従業員、日雇いの臨時従業員、パートタイマーなどに支払われる給与、賞与などの性格を有するものの総額をいい、障害者や65歳以上の者(役員に該当する者を除く)に対する給与はこれに含めません。

 

 

おわりに

 

免税点判定については子会社等の特殊関係者と同一家屋内で事業を行っている場合には特別な取扱いがあります。

(担当:佐藤敬)

            

 

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