会計・税務の知識

2021年09月09日 発行事業再構築補助金の圧縮記帳

はじめに

 

独立行政法人中小企業基盤整備機構より、事業再構築補助金の圧縮記帳の適用可否を国税庁に確認した結果が公表されました。

 

 

1.圧縮記帳は認められる。

 

国税庁からの回答は、中小企業等事業再構築促進補助金は所得税法第42条又は法人税法第42条に規定する国庫補助金等に該当し、本補助金のうち固定資産取得に充てるための補助金については、圧縮記帳等の適用が認められるとの事です。

圧縮記帳は、国や地方自治体から交付される補助金に適用できます。事業再構築補助金については独立行政法人である機構が交付していても圧縮記帳の対象となることが明確になりました。

 

 

2.圧縮記帳とは?

 

圧縮記帳は、固定資産を取得する為に受けた補助金等の益金を当該年度の課税対象とせず、税負担を軽減させる会計処理です。ただし、税負担を免除するのではありません。通常の固定資産を取得する場合と異なり、取得した価額から補助金収益が差し引かれ、毎年計上できる減価償却費が減る事となります。

 

 

3所得税法第42条1、2(抜粋)

 

居住者が、各年において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の「国庫補助金等」の交付を受け、その年においてその国庫補助金等をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合には、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年12月31日までに確定した場合に限り、その国庫補助金等のうちその固定資産の取得又は改良に充てた部分の金額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。

確定申告書にこれらの規定の適用を受ける旨、これらの規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。

 

 

4.法人税法第42条1、2、3(抜粋)

 

内国法人が、各事業年度において固定資産の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定める「国庫補助金等」

の交付を受け、当該事業年度においてその国庫補助金等をもつてその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場合において、その固定資産につき、その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額「圧縮限度額」の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法により経理したときに

は、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

各事業年度において国庫補助金等の交付に代わるべきものとして交付を受ける固定資産を取得した場合において、その固定資産につき、その固定資産の価額に相当する金額「圧縮限度額」の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額を当該事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法により経理したときは、その減額し又は経理した金額に相当する金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。

 

 

5.但し、補助金の全額が圧縮記帳の対象として、認められる訳ではない。

 

技術導入費、専門家経費等の固定資産の取得以外に充てられた部分の金額については、固定資産とは言えず、圧縮記帳の対象には出来ません。つまり、固定資産の定義に照らして固定資産として一体の経費でなければ圧縮記帳の対象には出来ません。

 

 

おわりに

 

圧縮記帳をする場合は、当該年度の決算で実行するのが得策かどうかを将来予想と照らし合わせて選択する必要があります。間違って判断しない様に十分に検討して実行したいところです。

           

出典:国税HP事業再構築補助金HP

(担当:池田)

 

            

 

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