会計・税務の知識

2021年11月26日 発行“来る?いつ?対策は?” 令和3年版節税対策!

はじめに

 

今年も残すところ1か月余り。コロナ第6波もいつ来るのか気になりますが、税制改正の動向も気になります。

今こそ考えるべき個人の節税対策例や留意点についてご案内します。

 

 

1.所得税

 

①未納分の社会保険料などの支払

国民年金や国民健康保険を個人で支払っている人で未納分がある人は、年内に支払うことで所得控除を受けることができます。生計一の親族分も含まれます。

 

②寄附金の支払、ふるさと納税

国や地方公共団体、社会福祉法人等に本年中に寄附を行うことで、その寄附金は本年分の所得金額の40%相当額まで控除することができます。地方公共団体への寄附(ふるさと納税)の場合、住民税の特別控除もあります。

 

③医療費の支払

12月末までに支払った医療費(生計を一にする配偶者やその他の親族の分も含み、保険金等補てん分除く)が控除の対象となりますので、年内の治療に関する未払分の支払いをご検討ください。

また、セルフメディケーション税制の対象商品である市販薬の購入費が年間1.2万円以上ある場合は、所得控除ができますので、領収書の整理をしてみてください。

 

④特定支出控除

サラリーマンでも資格取得費、図書費、交際費、衣服費等を必要経費として控除できる場合があります。

 

⑤国外財産調書制度

海外に5,000万円超の財産がある方は、確定申告の要否にかかわらず、国外財産調書の提出が必要となります。

未提出等の場合、罰則もあるので要注意です。

 

 

 

2.金融商品税制

 

①NISA

2024年からは新NISA口座が始まりますが、現行の一般NISA口座の非課税枠も、年内に開設すれば3年分(360万円分)あります。未活用の方は検討されてはいかがでしょうか?

 

②上場株式、公社債の益出し、損出し

上場株式と非上場株式の損益の相殺は認められない一方、上場株式と国債等との損益の通算は可能になっています。

他方、非課税であった公社債の売却損益は申告分離課税の対象になっています。

損益を通算できる範囲を確認して、年内の含み損益の実現をご検討ください。

 

③個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)

拠出時は全額所得控除、運用時は非課税、受取時には退職所得扱い等税制メリットがありますので、ご検討ください。

 

 

 

3.事業主の方向け

 

①経営セーフティ共済、小規模企業共済の加入・増額

個人事業主が、経営セーフティ共済や小規模企業共済を年末までに新規加入又は増額し、かつ支払えば、その支払った掛金が経費算入又は所得控除されます(前納の場合、最大で小規模共済84万円、セーフティ共済240万円まで)。個人事業主の方は是非ご検討ください。

 

②その他経費の先行支出

修繕、広告宣伝、少額資産の購入、短期前払費用、従業員への賞与支給等、いずれ支払う予定があるものは、年内に予定を前倒しで支出することで、経費化することをご検討ください。

従業員(生計一の親族を除く)を被保険者とする保険加入も考えられます。

 

 

 

4.相続税・贈与税

 

①計画的な贈与

 生前贈与にかかる課税については改正が懸念されますが、少なくとも年内に行うものについては有効です。

また、2023年まで延長されている教育資金贈与制度等の活用もご検討ください。

 

②住宅取得等資金の贈与

 住宅取得等資金贈与の非課税措置(良質な住宅用家屋なら1500万円、それ以外なら1000万円まで)は、延長が期待されますが、現状ではこの年末が期限です。

 

 

 

5.消費税

 

課税事業者や簡易課税の選択等の諸特例の適用を来年から受けるためには届出を年内に提出する必要がありますので、この時期にご確認ください。

 

 

 

おわりに

 

上記の対策には、確定申告や青色承認等の特別な要件の具備、契約書の準備等が必要であったり、長期的な計画に基づいてこそ有効なものもあります。実行に際しては税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします!

          (担当:情報企画室)

          

 

 

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