会計・税務の知識

2022年01月20日 発行(税制改正特集)完全子法人株式等の配当に係る源泉徴収について

はじめに

 

令和4年度税制改正大綱が12月10日に公表されました。

今回は、大綱の配当所得の源泉徴収に関する税制改正についてご紹介します。

 

 

1.配当所得に係る源泉徴収について

 

配当等の支払を受ける際に、株式等の区分に応じて所得税が源泉徴収され、源泉徴収された所得税は原則として、支払を受けた年の所得税額を計算する際に差引くこととなります。

 

(1)上場会社等の株式等の場合

15.315%(他に地方税5%)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。

 

(2)上場株式等以外の配当の場合

20.42%(地方税なし)の税率により所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されます。

 

 

2.改正の内容

 

一定の内国法人が支払いを受ける配当等で、次に掲げるものについては所得税を課さないこととし、その配当等に係る所得税の源泉徴収を行わないこととするほか、これに伴う所要の措置を講ずることとなります。

 

(1)完全子法人株式等(株式等保有割合100%)に該当する株式等に係る配当等

 

(2)関連法人株式等(配当等の支払に係る基準日において、当該内国法人が直接に保有する他の内国法人の株式等(当該内国法人が名義人として保有するものに限る。以下同じ。)の発行済株式等の割合が3分の1超である場合における当該他の内国法人の株式等)に係る配当等

 

(注)上記の「一定の内国法人」とは、内国法人のうち、一般社団法人及び一般社団法人(公益社団法人及び公益財団法人を除く。)人格のない社団等並びに法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされている法人以外の法人を言います。

 

 

 

3.適用期限

 

令和5年10月1日以降に支払いを受けるべき配当等について適用となります。

 

 

 

4.実務上の変更点

 

改正により、完全子法人株式等及び関連法人株式等の配当に係る所得税の源泉徴収がなくなるため、実務上、下記の変更点が生じます。

 

・内国法人(子法人又は関連法人)は、配当等に係る源泉徴収事務負担が削減されます。

・内国法人(親法人)は、受取配当等に係る源泉所得税相当額の所得税額控除に係る還付請求手続きによる事務負担が削減されます。

・源泉徴収による企業からの一時的な資金流出がなくなります。

 

 

 

おわりに

 

従来の制度では配当等の支払時に源泉徴収されるため、源泉徴収義務者及び税務署に源泉徴収事務や還付手続事務負担が生じ、非効率な納税環境となっていました。

今回の税制改正により、当該負担が無くなり、より効率的な納税環境の整備が進んだと考えられます。

          (担当:小原)

          

 

 

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