会計・税務の知識

2022年04月14日 発行社宅家賃についての取扱い

はじめに

 

会社が社宅を役員や従業員に貸与する場合、社宅に関する費用は法人税法上損金に算入が認められ、節税に有効といわれます。

ただし、社宅をみだりに安い金額で貸与すると、いわゆる給与課税扱いとして貸与される個人には所得税が課され、会社には源泉徴収義務が生じます。この給与課税がされないための適正社宅家賃(以下「賃貸料相当額」といいます。)について触れてみたいと思います。

 

 

 

1.役員の場合

 

(1)小規模住宅(法定耐用年数が30年以下の建物は床面積が132㎡以下、それ以外は99㎡以下)

 

次の①から③までの合計額が賃貸料相当額になります。

① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×2%

② 12円×(その建物の総床面積(㎡)/3㎡)

③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

 

(2)小規模住宅以外の住宅

 

①自社所有の社宅の場合

次のイとロの合計額の12分の1が賃貸料相当額になります。

 イ (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×12%

         ただし、法定耐用年数が30年を超える建物の場合には12%ではなく、10%を乗じます。

 ロ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×6%

②法人名義での借上げ社宅の場合

会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(2)①で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額が賃貸料相当額になります。

 

(3)豪華社宅(床面積が240㎡超で総合的に勘案して豪華である場合など)

    上記(1)(2)の算式の適用はなく、通常支払うべき使用料(時価)

 

(4)給与として課税される範囲

賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。

 

 

 

2.従業員の場合

 

次の①から③までの合計額が賃貸料相当額になります。

ただし、従業員本人負担額が賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。

 

① (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×2%

② 12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡)

③ (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%  

 

※看護師や守衛など、仕事を行う上で勤務場所を離れて住むことが困難な使用人に対して、仕事に従事させる都合上社宅や寮を貸与する場合には、無償で貸与しても給与として課税されない場合があります。

 

 

(例)賃貸料相当額が5万円の社宅を従業員に貸与した場合

 

(1)従業員から1.5万円の家賃を受け取る場合には、賃貸料相当額である5万円と1.5万円との差額の3.5万円が給与として課税されます。

(2)従業員から3万円の家賃を受け取る場合には、3万円は賃貸料相当額である5万円の50%以上ですので、賃貸料相当額である5万円と3万円との差額の2万円は給与として課税されません。

 

 

 

おわりに

 

社宅は、福利厚生の充実のために有用です。ただし、上記1(3)の豪華社宅については節税効果はありませんので留意ください。

(担当:新谷)

          

 

 

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