会計・税務の知識

2023年10月26日 発行インボイス制度の記載上の重要ポイント

はじめに

 

 

2023年10月1日から開始のインボイス制度について、記載上の重要ポイントを4つピックアップしましたのでご紹介いたします。

 

 

1.口座振替・口座振込による支払

 

 

家賃の支払いなど、契約書のみで請求書や領収書の交付は受けておらず、口座振替等により支払いをしている場合には、下記及び通帳や振込金受領書等の保存をすることで仕入税額控除の要件を満たします。

 

① インボイス前の契約

登録番号等の適格請求書の記載事項について不足している事項の通知を受け、契約書とともに保存。

 

② インボイス後の契約

契約書に通帳や振込金受領書等で示される事項以外の適格請求書として必要な記載事項の記載

 

 

 

2.買い手自らが発行した仕入明細書等による場合

 

 

 

下記要件を満たせば仕入税額控除が可能になります。

 

① 従来同様相手方の確認を受けていること

 

② 従前の仕入明細書等の記載事項に、「売り手側の登録番号」、「適用税率」、「税率ごとに区分した消費税額等」を追加したものであること

 

 

 

3.売り手が負担する振込手数料相当額

 

 

売手が振込手数料等を負担する場合、その振込手数料を「売上値引き」とするか、「買手から受けた対価」とするか、「買手が売手のためにした金融機関に対する立替払い」とするかにより、対応方法が異なります。

 

① 売上値引きの場合

適格返還請求書の交付が必要となります(振込手数料等が税込み1万円未満の場合には交付の必要なし)。

経理方法は消費税を「売上げに係る対価の返還等(売上の値引きのため、売上が軽減税率8%の場合軽減税率8%の売上げに係る対価の返還等)」とする必要があります(勘定科目は支払手数料でも可)。

 

② 買手から受けた対価とする場合

仕入税額控除を受けるためには、買手から適格請求書を発行又は売手が仕入明細書等を発行する必要があります。

 

③ 買手による金融機関に対する立替払いの場合

売手は、買手が金融機関から受け取った振込手数料に係る適格請求書及び買手が作成した立替金精算書等の交付を受け、振込手数料に係る仕入税額控除を行うことになります(この場合、買手が請求金額から差し引く金額が金融機関の振込手数料と同額である必要があり)。

 

 

 

 

.立替払いの場合

 

 

課税資産の譲渡等を行う者(以下甲)から立替払をした者(以下乙)宛に交付された適格請求書を立替を受ける者(以下丙)がそのまま受領した場合には、甲から丙へ交付した適格請求書とすることはできません。

乙が立替金精算書等を丙へ交付し、甲から丙への課税仕入れであることが明らかにされている場合には適格請求書及び立替金精算書等の保存をもって仕入税額控除の要件を満たします(乙が適格請求書発行事業者かは問わない)。

また、複数の者への立替の場合、立替を受けた複数の者それぞれに適格請求書のコピー及び精算書等を交付する必要があります。

ただし、適格請求書のコピーが大量等により交付が困難な場合は乙が適格請求書を保存し、立替金精算書等(精算書等で仕入税額控除に必要な記載事項を満たす必要があり)を丙に交付し、保存することで仕入税額控除の要件を満たします。

なお、仕入税額控除の要件として保存が必要な帳簿には相手方の名称等の記載が必要であり、乙と丙の間で課税仕入れの相手方の名称等及び登録番号を確認できるようにしておく必要あります。

ただし、これらの事項について、別途書面等で通知する場合や継続的な取引に係る契約書等で別途明らかにされている場合などは、立替金精算書において明らかにしていなくても差し支えありません。

 

 

 

おわりに

 

今回ご紹介したものは一部であり、多くの注意点がありますので、国税庁のQ&A等を参考にしていただき、誤りがないようにご対応ください。

上記内容は2023年9月末時点のものになります。

(担当:杉山)

 

 

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