会計・税務の知識

2023年12月28日 発行中期経営計画の作り方⑤

はじめに

 

 

中期経営計画の作り方シリーズ①・②では、中期経営計画の概要について、③・④は全体の手順や考え方を掴んでいただきました。

今回から、経営理念の作り方、という内容でお送りしていきます。

経営理念の重要性については、シリーズ③で既に記載した通りで、経営理念のある企業の方が、収益性が高いとデータが示しています。

 

 

 

1.経営理念は最初に作り、最後にまた見直す。

 

 

経営理念とは、組織を経営する上で大事にする想いを言葉にしたもの、という表現で良いかと思います。

起業したばかりであれば、なぜ起業したのか?と聞かれたら答えるようなことで良いですし、事業承継期等であれば、会社の中で大事にしていることでもいいですし、歴史を振り返り、創業者の想いを紐解いてみても良いでしょう。

また、難解な言葉を使う必要もありません。

ただ、中期経営計画を策定していると、途中で色々な方面に話が広がります。

アイデアが広がるのは良いのですが、広がりすぎて、よくあるのは、「その事業をうちの会社でやる必要あるの?」という疑問にあたったりします。

その時に役立つのが、経営理念です。

計画策定中においても、悩みや迷いが生じたら、経営理念に立ち返る。

そういった意味では、経営理念は最初に作成しておいた方が、計画策定のよりどころになるので有効です。

ただし、最初から作れるわけではありませんし、計画策定中に微妙に表現が変わったりもします。

従って、最初にまずはなんとなくの勢いで表現して仮置きする。

計画が具体化されて、最後にもう一度見直す。

この程度で考えて、次に進んでいきましょう。

 

 

 

 

2.組織内であれば、だれが作っても良い

 

 

経営理念は経営者が作るもの、といった固定観念に出会うことがあります。

もちろん、経営者が作成すれば良いのですが、メンバーを募って作成する、全社員で作成する、など様々です。

たとえ1人会社であっても、全て一人で完結するわけではないので、ビジネスパートナーや家族に相談するようなことがあっても良いですね。

 

 

 

 

3.経営理念のブレスト会議

 

 

 

経営理念検討時にお勧めなのが、複数人で、フセンを使って作成していくやり方です。

それぞれが大事にする想いをフセンに記載する。

その中で共感できる表現をピックアップして、並び替える。

これは一人でも有効です。

頭から全てを一言一句記載するのではなくて、フセンに表現を記載していって、それを組み合わせていく。

複数人でやると、何か変なものが出来上がるのではないか?と思うかもしれませんが、同じ企業に属していて、同じような考え方の方が集まっているのであれば、大きなブレはでませんし、一人で考えるよりも、豊かな表現になる可能性が高いです。

 

 

 

 

4.経営理念の『五方よし』

 

フォーマット的な考え方であれば、『日本で一番大切にしたい会社』の著者、坂本光司氏が考える、『五方よし』を軸に考えると良いかと思います。

 

近江商人の経営哲学である、売り手良し、買い手良し、世間に良し、の『三方よし』は有名ですね、『五方よし』とは、

 

①社員とその家族

②社外社員(外注先等)とその家族

③現在顧客と未来顧客

④地域住民、障がい者や高齢者等社会的弱者

⑤出資者・関係機関

 

この5つの順番を大事にしながら、経営をしていく考え方です。

この立ち位置として、企業経営の目的・使命は、その企業に関係するすべての人を幸せにする、という考えから生まれています。(三方だと、社員という概念が抜けやすい)

これを質問形式に変え、例えば、社員とその家族に対して、どのような役立ちをしたいですか?といった質問に答えるだけでも、十分な経営理念を策定することができます。

 

 

 

おわりに

 

経営理念について、まだまだ語り切れません!次号に続きます。

(担当:横瀬)

 

 

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