会計・税務の知識

2018年10月18日 発行事業税の分割基準について

はじめに

法人事業税とは、法人が行う事業に対して課される税金です。法人の種類や業種によって計算方法が違いますが、一般的な事業会社であれば、所得金額に税率を乗じることで税額が算定され、事務所又は事業所(以下、「事務所等」)が所在する都道府県に納めます。そして、事務所等が複数の地域にある場合に課税標準額を一定の割合で分割して税額を計算することを事業税の「分割基準」といいます。これは、各都道府県内における事業の規模、活動量などを的確に反映し、その課税標準が各都道府県に適正に配分されることを目的とします。

 

1.業種に係る分割基準

分割基準は、事業の種類に応じて、次のとおりとされています。(地方72の48③、地令35の2)なお、電気供給業、ガス供給業、鉄道事業等は今回説明の都合上省かせていただきます。

 

(注1)従業者の数は、原則、事業年度終了の日現在における数による
(注2)工場の従業者の数が奇数の場合は、その数に1を加えた数による
(注3)事務所等の数は、事業年度に属する各月の末日現在における数の合計数

 

2.各分割基準の内容

①事務所等の固定資産の価額

事業年度終了の日現在における固定資産の価額は、当該事業年度終了の日において、貸借対照表に記載されている土地、家屋及び家屋以外の減価償却が可能な有形固定資産の価額によります。(地規6の2②)。したがって、建設仮勘定において経理されている固定資産のうち、当該事業年度終了の日において事業の用に供されているものは含まれることとなり、無形固定資産及び貸借対照表に記載されていないものは、分割基準に含まれません。

②事務所等の数

事務所等とは自己所有かどうかにかかわらず、継続的に事業を行うために(事業の必要性から)設けられた設備、場所を指します。ここでいう事務所等には、継続適用を要件としております。したがって、2~3か月程度の一時的に事業を行うために設けれた仮の設備等は、事務所等とは認識されません。また分割基準である事務所等の数とは、原則、事業年度の各月の末日における数を合計したものとなります。

ただし、解散等、当該事業年度中に月の末日が到来しない場合には,当該事業年度終了の日現在における数とされます。例えば10月25日に解散した場合には、10月25日時点の事務所等の数の合計数となります。

③従業者の数の算定方法

従業者とは、俸給、給料及び賃金、諸手当、賞与の支払いを受けるべき人のことを指します。ただし、受けるべき人とありますが、経営者である個人やその親族、または非常勤役員など実際に給与の支払いを受けていない場合であっても、この場合、従業者に含まれます。また、以下の場合には事務所等に在籍した月数により按分します。(地方72の48⑤、地令35)。

3.誤った事例

①事業の種類に関して下請工場などに材料を支給し製品を作らせ自社名で販売している場合には製造業ではなく小売業・卸売業に該当します。

②事務所等の数に関して同一構内・区画に複数の建物がある場合にはそれらは一つの事務所等として扱われます。

③従業者の数に関して研究施設において研修者は従業者の数に含まれません。

なお派遣会社からの派遣労働者は従業者の数に含まれます。

 

まとめ

事業税の分割基準について基本的なことを説明しました。複数拠点を保有する法人は分割して法人事業税を納める必要があり、業種や規模によって金額が変わってくるので気をつけましょう。(担当:増山)

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