会計・税務の知識

2018年09月27日 発行税務署の情報収集力(その他)

はじめに

前回まで、税務署の情報収集方法として、「法定調書」、「お尋ね」の一部を数回にわたり紹介してきました。本稿ではその他の方法について概説します。

 

1.法定外資料

法定外資料は法律により提出が義務付けられているわけではないが、税務調査においては、有効な資料として活用される場合が多いものであり、一般取引(収集)資料せんや実地調査資料などがあります。また、国税庁「第66回事務年報」によると、1億5,163万枚(対前事務年度比116.5%)もの膨大な量のデータが収集されているようです。

 

2.一般取引(収集)資料せん

一般取引資料せんは、法人や個人に対して売上、仕入、外注費などの取引等について書面照会を行い、その回答から収集する資料をいいます。

上記をみると、取引先名、日付、金額、決済方法、取引銀行など取引内容を詳細に記載する必要があります。この書類の提出は質問検査権にもとづき行われているものではないので、未提出であっても罰則規定はありませんが、提出することをお勧めします。

 

3.実地調査資料(内部資料せん)

実地調査資料は、税務調査官が実地調査の際に収集する資料をいいます。税務調査のときに調査官がノートに転記したり、総勘定元帳の提出を求めて持ち帰る資料です。

調査対象者の取引先で不正が想定される取引を発見した場合に作成される重要資料せんと重要資料せん以外の一般資料せんがあります。

 

4.反面調査

税務職員は、調査について必要がある場合に調査対象者の従業員、取引先に対して、直接接触してヒアリングを行ったり、書面により必要な書類(請求書、領収証、帳簿書類など)の提示を求めたりする場合があります。その他にも反面調査の一種に銀行に対し調査対象者の銀行口座の提出を求めることができます。

取引先や従業員、金融機関に対して税務署から質問がくるとなると信用問題に影響する可能性もあるため、その権利行使には慎重に行う必要があります。

 

5.最近は電子データ(紙によらない)

一般取引(収集)資料せんはこれまで紙による提出が多くを占めていましたが、最近はExcel形式などのデータで作成し、FD(フロッピーディスク)、MO(光磁気ディスク)やCDやDVDなどの光ディスクに保存して提出することも増えてきています。税務調査のときにも各取引のCSVデータの提出が求められるなど、データを活用した資料収集により効率化も進んでいます。ちなみにメールでの送信ありません。

 

おわりに

近年、ICTやAIの発展、経済取引のグローバル化、資産運用の多様化、マイナンバー制度など税務行政を取り巻く環境は大きく変化しています。

ICTを活用した年末調整手続きの簡素化やスマートフォン、タブレットによる所得税の電子申告が可能になるなど納税者の利便性の向上や事務運営の効率化が進んでいくことが予定されています。それに伴い、税務署による情報収集の量、質も向上していくと考えられます。

税務署にバレるかどうかを心配するよりも胸を張って調査してもらう心持ちでいたいものです。(担当:齋藤)

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