会計・税務の知識

2019年02月07日 発行個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度の創設

はじめに

平成30年12月14日に平成31年度税制改正大綱が公表され、新たに個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度が設けられました。そこで今回は、個人事業者の事業用資産に係る納税猶予制度について解説したいと思います。

 

1.概要

認定相続人が、平成31年1月1日から平成40年12月31日までの間に、相続等により特定事業用資産を取得し、事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その認定相続人が納付すべき相続税額のうち、相続等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税の納税を猶予するという制度です。

認定相続人とは、承継計画に記載された後継者であって、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定を受けた者をいいます。

承継計画とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成された特定事業用資産の承継前後の経営見通し等が記載された計画で、平成31年4月1日から平成36年3月31日までの間に都道府県に提出されたものをいいます。

特定事業用資産には、不動産貸付事業用資産は含まれず、土地は400㎡、建物は800㎡、その他減価償却資産は青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものに限られます。

 

 

2.猶予税額の計算、納付

猶予税額の計算方法は、非上場株式等についての相続税の納税猶予制度の特例と同様とします。なお、①認定相続人が、特定事業用資産に係る事業を廃止した場合等には、猶予税額の全額を納付する。②認定相続人が、特定事業用資産の譲渡等をした場合には、その譲渡等をした部分に対応する猶予税額を納付する。ことになります。

 

 

3.猶予税額の免除

①全額免除…次の場合には猶予税額の全額が免除されます。

イ.認定相続人が、その死亡の時まで、特定事業用資産を保有し、事業を継続した場合

ロ.認定相続人が一定の身体障害等に該当した場合

ハ.認定相続人について破産手続開始の決定があった場合

ニ.相続税の申告期限から5年経過後に、次の後継者へ特定事業用資産を贈与し、その後継者がその特定事業用資産について贈与税の納税猶予制度の摘要を受ける場合

②一部免除…次の場合には猶予税額の一部が免除されます。

イ.同族関係者以外の者へ特定事業用資産を一括して譲渡する場合

ロ.民事再生計画の認可決定等があった場合

ハ.経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特定事業用資産の一括譲渡又は特定事業用資産に係る事業の廃止をするとき

 

 

4.贈与税の納税猶予制度

上記1~3について、認定受贈者(18歳、平成34年3月31日までの贈与については20歳以上)の場合には相続税の納税猶予制度と同様に取り扱います。認定受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人以外の者であっても、その贈与者がその年の1月1日において60歳以上である場合には、相続時精算課税の適用を受けることができます。

贈与者の死亡時には、特定事業用資産(既に納付した猶予税額に対応する部分を除く)をその贈与者から相続等により取得したものとみなし、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税を計算します。その際に、都道府県の確認を受けた場合には、相続税の納税猶予の適用を受けることができます。

 

 

5.小規模宅地等の特例の適用

この納税猶予の適用を受ける場合には、特定事業用宅地等について小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例を受けることができません。

 

 

おわりに

 当該制度の適用は、上記5の小規模宅地等の特例との併用ができないため、有利判定が必要となりますのでご留意下さい。(担当:佐藤裕)

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