会計・税務の知識

2019年03月07日 発行税務署の情報収集力(納税環境整備)

はじめに

これまで税務署の情報収集方法として、「法定調書」や「お尋ね」についてご紹介してきました。平成30年12月21日に閣議決定された2019年度税制改正大綱では、納税環境整備の一環として、税務当局による情報照会の仕組みについて整備されることが予定されております。本稿でその内容を概説します。

 

1.事業者等への協力要請

国税庁等の職員は、事業者及び特別の法律により設立された法人に、国税に関する調査(犯則事件の調査を除く。)に関し参考とされるべき帳簿書類その他の物件の閲覧又は提供その他の協力を求めることができる。

 

 

2.事業者等への報告の求め

高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限り、所轄国税局長(注1)が事業者等に対して、担保措置を伴った実効的な形により情報照会を行うことができることとされます。ただし、適切かつ慎重な運用を求める観点から、照会できる場合及び照会情報を限定するとともに、事業者等による不服申立て等も可能です。

(注1)「所轄国税局長」とは、事業者等の所在地を所轄する国税局長をいいます。

照会情報 特定取引者の氏名又は名称

住所又は居所

個人番号又は法人番号

回答期限 60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日まで。
罰則 報告の求めに対する拒否又は虚偽報告については、検査拒否等の場合と同様に罰則が設けられます。(所得税法242条、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)

 

 

3.上記2の場合の要件

次の(1)、(2)を満たす場合に報告を求めることができることとされます。

 

(1)特定取引者(注2)の国税について、更正決定等をすべきこととなる相当程度の可能性がある場合(具体的には次のいずれかの場合)

①特定取引と同種の取引を行う者(その取引に係る課税標準等が年間1,000万円を超える者に限る。)に対する国税に関する調査において、その半数以上の者について、その取引に係る課税標準等・税額等について更正決定等をすべきと認められる場合

②特定取引に係る物品又は役務を用いることにより、当該特定取引に係る特定取引者の課税標準等・税額について国税に関する法律の規定に違反すると認められる場合

③特定取引が経済的観点から見て通常であれば採らないような不合理な取引態様であることにより、違法行為の存在を推認される場合

(注2)上記の「特定取引者」とは、事業者等との取引(事業者等を介して行われる取引を含む。以下「特定取引」という。)を行う不特定の者をいう。

 

(2)この報告の求めによらなければ、特定取引者を特定することが困難である場合

 

 

4.適用時期

上記の改正は平成32年(2020年)1月1日以後に行う協力又は報告の求めについて適用されます。

 

 

おわりに

2019年度税制改正に盛り込まれた内容についてその概要を説明しました。これは税務署の情報収集強化ともいえるのではないでしょうか。税務署にバレるかどうかを心配するよりも胸を張って調査してもらう心持ちでいたいものです。(担当:齋藤)

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