会計・税務の知識

2019年04月11日 発行法人税の税務調査実績

はじめに

平成28年度時点において、日本全国の法人数は267万社存在するといわれております。

今回は、法人税の直近5年間の税務調査実績について、紹介いたします。

 

 

1.法人全体に対する調査

以下の表は、法人全体に対する税務調査の実績を表しております。毎年、法人全体の3%にあたる、10万社程度の調査が実施されます。調査により非違が発見される割合は、毎年70%を超えており、その内、不正を行っている法人は30%で、件数は増加傾向にあります。調査全体の申告漏れ所得金額は、29年度で1兆円に迫っており、追徴税額は2,000億円程となります。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は1,000万円程度で、追徴税額は150万円を超えます。

【法人税の実地調査の状況】

その内、意図的に申告していない法人は10%程度存在し、毎年増加傾向にあります。追徴税額は、年間30~60億円となります。

 

【無申告法人に対する実地調査の状況】

 

3.海外取引を行う法人に対する調査

以下の表は、海外取引を実施する法人に対する税務調査実績を表しております。 企業のグローバル化が進展する中で、国外送金等調書をはじめとした資料情報や租税条約等に基づく情報交換制度の活用により、調査件数が増加しております。28年から29年にかけて、申告漏れ所得金額が1,304億円増加しております。要因として、外国子会社合算税制に係る申告漏れ所得金額が前年比1,110億円増加の1,159億円となっており、29年から施行のCRS制度の活用により増加したものと考えられます。

 

【海外取引法人等に対する実施調査の状況】

 

4. 1件当たりの不正所得金額の大きい業種

以下の表は、不正1件当たりの不正所得金額の大き

い5業種の推移を表しております。パチンコ業が

毎年、上位に位置しており、1件当たり3,000万円を超える不正所得金額が発覚しております。また、27年度の民生用電気機械器具電球製造業は1件当たり7,600万円を超える不正が発覚されました。

 

【不正所得金額の大きい5業種の推移】

 

 

終わりに

今回は法人税の税務調査実績を紹介しましたが、次回は所得税の紹介をいたします。(担当:高瀬)

 

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