会計・税務の知識

2018年06月28日 発行消費税の課税事業者判定フローチャート

はじめに

消費税においては、中小事業者の事務負担に配慮する観点から、その課税期間の基準期間における課税売上高が1千万円以下である場合に消費税の納税義務を免除する事業者免税点制度が設けられています。

一方で、恣意的な制度選択を通じた租税回避的な行為を防止するため、納税義務免除の特例措置が多数設けられています。

消費税の課税事業者(納税義務)の判定において検討すべき点は多岐にわたるため、フローチャートにまとめてみました。

 

1. 課税事業者判定フローチャート

 

 

 

 

2. 各規定に関する定義、留意点等

(1)基準期間…個人事業者についてはその年の前々年、法人については原則としてその事業年度の前々事業年度をいいます。

 

 

(2)消費税課税事業者選択届出書…消費税の納税義務がない者が消費税を納める課税事業者になるための届出書のことをいいます。提出期限は、原則として課税事業者となりたい課税期間が開始する日の前日までです。

 

 

(3)特定期間…個人事業者についてはその年の前年1月1日から6月30日までの期間、法人については原則としてその事業年度の前事業年度開始の日以後6月の期間をいいます。なお、課税売上高・給与等支払額いずれの基準で判断するかは納税者の任意とされています。

 

 

(4)相続等の納税義務の免除の特例…相続人、合併法人、分割に係る新設分割子法人・新設分割親法人、分割承継法人は、自己又は自社の課税売上高のみで納税義務がない場合でも納税義務が生じるケースがあるため、留意が必要です。

 

 

(5)新設法人…基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1千万円以上である法人をいいます。

 

 

(6)特定新規設立法人…基準期間がない事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1千万円未満である法人のうち、次の①、②のいずれにも該当する法人をいいます。

 

①その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合等、他の者等により支配されていること。

 

②上記①の判定の基礎となった他の者等の基準期間相当期間における課税売上高が5億円を超えていること。

 

 

(7)調整対象固定資産…棚卸資産以外の建物等の固定資産のうち、税抜価格1百万円以上のものをいい、一般課税期間(事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間)中に仕入れ等を行った場合が該当します。

 

 

(8)高額特定資産…税抜価格1千万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいい、一般課税期間中に仕入れ等を行った場合が該当します。(担当:秋元)

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