会計・税務の知識

2019年05月16日 発行RPAと会計業界

はじめに

世界でも類を見ない超高齢化社会という問題を抱えている日本では、

労働力の中核を成す15歳以上65歳未満の生産年齢人口が1995年をピークに

減少傾向が続いています。

この進行する人手不足を改善するために注目を集めているのがRPAです。

今回は、RPAについて説明します。

 

 

1.RPAとは

「RPA」とは、Robotic Process Automationの略で、

ロボットによる業務自動化の取り組みを表しています。

ロボットといってもあくまでソフトウェアであり、

人間が行う作業手順を登録しておくだけで様々なアプリケーションを横断して

処理を行います。主にバックオフィスにおけるホワイトカラー業務の代行を

得意とします。

 

 

2.RPAの3つの段階

RPAには広義的に3つの段階があります。第1

段階は、定義されたルールに従ってデータを処理します。

第2・3段階は、複数のデータを紐付けて分析し、

システム自体が判断ルールを組み立てます。

 

段階1:決められた方法に従って、自動的に処理します。決められたこと以外はできません。

 

 

段階2:大量のデータを解析し、その結果を出力します。

 

 

段階3:大量のデータを処理・分析した上で、多様な結果を出力することができます。

 

 

段階1がRPAの領域であり、段階2・3からはAIの領域にもなってきます。

RPAとAIは混同されやすいですが、厳密には定義が異なります。

RPAとは、あらかじめ決められた動作を指示通りに行うことを

目的としたツールであるのに対して、AIは大量のデータをもとに分析し、

より自立した結果を出力するのが特徴です。

 

 

3.RPAによるメリット

RPAの特徴として、辞めない・働き続ける・変化に強く、

同じ間違いを繰り返さないという3つの特徴があります。

ロボットは自ら辞めることはなく、24時間休みなく働くことが可能です。

業務の変化にもルールを書き換えることで柔軟に対応することができ、

同じミスを繰り返すことがありません。

 

労働力不足を補う手段として、業務のアウトソーシングがありますが、

必要な知識と手順が多い上に正確性が必要な業務をアウトソーシングする場合には、

二重三重のチェックが不可欠であり、人件費とリードタイムがかさむのが問題点でした。

しかし、これらの問題点を解決することができるのがRPA技術と言われています。

 

 

4.RPAによる改善領域

RPAが会計業務の自動化できる領域において、以下の業務が挙げられます。

 

・買掛金の管理

・売掛金の管理

・棚卸資産の管理

・決算業務に関する業務

・経費精算業務        など

 

 

上記の業務は業務のルーティン化が他の業務に比べて進んでいることから、

RPAの効果が発揮されやすいと考えられています。

 

 

5.まとめと今後の課題

今後RPAが普及していき、業務が自動化されることにより

RPAが行う役割と人間が行う役割が明確になっていきます。

RPAは定型業務を行い、人間はマネジメントや分析、

戦略提案などのより付加価値の高い業務に専念することができます。

しかし、イレギュラーな業務や問題が発生したときに

RPAについて理解している人材がいないと対応が困難になってきます。

よって、会計業務とRPAの両方に理解が深い人材を育てていくことが

課題です。(担当:落合)

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