会計・税務の知識

2018年04月12日 発行税務手続きの電子化等の推進

はじめに

昨今の経済社会のICT・AIの発展には目覚ましいものがありますが、税務手続きにつきましても、納税者の負担軽減、行政コストの削減の為に電子化、キャッシュレス化が進められております。

今回は、そのような税務手続きの電子化等の推進について説明します。

 

 

1.e-Taxの利用率及び大企業の電子申告義務化

e-Taxとは、申告などの国税に関する各種の手続について、インターネットを利用して電子的に行えるシステムです(地方税においては、eLTAX)。

平成16年に運用が開始され、平成27年度時点においては、法人税申告で75.4%、所得税申告で52.1%の利用率となっております。

また、平成30年度税制改正では、電子化推進のため、大法人には、平成32年4月以降開始事業年度の確定申告等の提出時の電子申告を義務付けております。

 

 

2.国税の納付のキャッシュレス化推進

国税の納付については、多様な納付手段が整備されております。平成28年度の各納付手段の割合は次の表のとおりです。

納付手段 納付件数

(万件)

割合(%)
窓口での現金等による納付 金融機関窓口 3,175 72.0
税務署窓口 159 3.6
コンビニエンスストア納付 170 3.9
クレジットカード納付 5 0.1
口座振替 608 13.8
電子納税 ネット

バンキング等

194 4.4
ダイレクト納付 96 2.2

 

3.電子帳簿等とスキャナ保存

・電子帳簿等保存制度(平成10年度税制改正で創設)

帳簿(仕訳帳等)及び国税関係書類(決算関係書類等)については、届出により一定の要件の下で、電磁的記録等による保存等が可能

 

・スキャナ保存制度(平成17年度税制改正で創設)

決算関係書類を除く国税関係書類(取引の相手方から受領した領収書・請求書等)については、届出により一定の要件の下で、スキャナにより記録された電磁的記録の保存により、当該書類の保存に代えることが可能。

 

 

4.医療費控除の電子化

・平成19年度税制改正

⇒電子申告の場合には領収書の添付省略が認められました。

 

・平成29年度税制改正

⇒領収書の提出の代わりに「医療費控除の明細書」 の添付が必要となりました。また、医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付すると、明細の記入を省略できます(※医療費通知の形式に要件があります)。なお、電子的に発行された医療費通知を被保険者webサイトで取得し、電子申告時に当該医療費通知データをアップロードすることにより、ペーパーレスで申告を行うことができます。

 

 

5.青色申告特別控除の改正

平成30年度税制改正で、個人事業者の青色申告特別控除額が、現行の65万円から55万円に引き下げられることとなりました。ただし、下記の要件のいずれかを満たす方につきましては、65万円のままとなります。

①その年分の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について、電子帳簿保存法に定めるところにより電磁的記録の備付及び保存を行っていること。

 

②その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表及び損益計算書等の提出を、その提出期限までに電子情報処理組織(e-Tax)を使用して行うこと。

 

 

おわりに

今回ご紹介したもの以外にも様々な取組が行われております。その他現在実現を目指している取組や、今回ご紹介させていただいた事項の詳細につきましては、下記財務省URLに記載されておりますので、ご参照ください。

http://www.mof.go.jp/tax_policy/councils/zeicho/20171120_04.pdf (担当:野村)

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