会計・税務の知識

2019年08月15日 発行仮想通貨に係る税制改正(法人税)

はじめに

これまで、法人が仮想通貨を保有する場合の法人税法上の取り扱いが必ずしも明確ではありませんでした。

2019年度税制改正には、この法人税法上の仮想通貨に関する取り扱いの整備案が含まれています。

今回は2019年度税制改正における、法人税法上の仮想通貨の取り扱いに関する整備案の内容をご紹介します。

 

 

1.改正内容

従来法人が保有する仮想通貨については、基本的に期末に評価損益の計上が不要で、

売却をした時点で譲渡損益を認識すればよいと考えられていました。

 

しかし2019年度税制改正において、法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、

活発な市場が存在する仮想通貨については、時価評価により評価損益を計上するとされています。

したがって2019年度税制改正後は、法人が期末に保有する仮想通貨について

活発な市場が存在する場合は、売却等をしていないときでも、

未実現の評価損または評価益を認識する必要が生じます。

 

 

評価損であれば税負担を減らす方向に作用するのでまだよいのですが、

評価益を認識する場合は手元に評価益に見合う現金がない場合にも法人税負担が発生することになるので、

注意が必要となります。

また、法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等についても、

事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上するとされています。

 

 

2.適用開始時期と経過措置

上記の時価評価に関する改正は、2019年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税について

適用するとされています。

 

開始ではなく終了する事業年度分の法人税について適用されるとされているため、

たとえば2019年4月末に決算日を迎える法人については、

原則的にはこの時価評価に関する改正が適用されることが想定されます。

ただし上記の適用については、経過措置が併せて設けられます。

 

 

経過措置によれば、2019年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度について

会計上仮想通貨につき時価評価をしていない場合には、税務上も期末時価評価を

適用しないことができるとされています。

つまり2019年4月1日前に開始した法人の事業年度については、

その事業年度については2019年4月1日以後に事業年度が終了する場合でも、

会計上帳簿上時価評価をしない限りは、法人税法上も時価評価をしなくてもよいということとなります。

 

 

3.約定日基準の適用

法人が仮想通貨の譲渡をした場合の譲渡損益については、

その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上するとされています。

この改正により、たとえば月末日に仮想通貨の譲渡の約定をし、

3日後に法定通貨への換金等が行われるようなことがある場合は、

約定日である月末日の属する事業年度に譲渡損益を認識することとなります。

 

 

4.譲渡原価の計算方法

仮想通貨の譲渡に係る原価の額を計算する場合における一単位当たりの帳簿価額の算出方法については、

移動平均法または総平均法による原価法とされています。

上記の取り扱いは、有価証券や短期売買商品の譲渡原価の計算に対する法人税法上の取り扱いと同様と考えられます。

そのため仮想通貨の譲渡原価の計算について総平均法を適用したい場合には、

有価証券や短期売買商品の場合と同様に所定の届出書を税務署に提出する手続きが必要となり、

届出を行わない場合には、法定算出方法である移動平均法による計算が必要です。

 

 

おわりに

仮想通貨取引は、今まで納税のための環境整備があまり整っていませんでした。

所得税についても、雑所得として認識するなど課題点が多くございます。

今後の税制改正についても注意が必要です。(担当:佐藤裕)

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