会計・税務の知識

2019年11月14日 発行資本金が1億円を超えた場合の留意点

<はじめに>

会計期間中に増資等をして資本金が1億円超となった場合、

税制優遇措置適用の観点から留意点についてまとめました。

 

 

1.資本金1億円以下の法人にかかる優遇措置

(1)軽減税率制度

年800万円以下の所得について、軽減税率19%(①)及びその特例15%(②)の適用

→ 一律23.2%へ

 

(2)欠損金の繰越控除制度

  所得金額の100%まで損金算入(控除)が可能

→ 控除額が所得金額の50%へ

 

(3)欠損金の繰戻還付制度

欠損金額が生じた場合、その欠損金額を事業年度開始前1年以内に開始した事業年度に繰り戻して、

納付した法人税額の還付請求が可能

→ 繰戻還付請求の対象外法人へ(清算及び解散事業年度を除く)

 

(4)交際費の損金不算入制度の特例

事業年度ごとに接待飲食費の50%相当額と年800万円の定額控除限度額との選択が可能

→ 接待飲食費の50%相当額を超える交際費等の額が損金不算入へ

 

(5)留保金課税制度

 資本金1億円以下の場合、適用除外

→ 特定同族会社に対して特別税率による課税へ

 

(6)貸倒引当金制度

 法定の繰入限度額まで損金算入が可能

→ 貸倒引当金は損金算入不可へ

 

(7)投資減税等の租税特別措置法(主なもの)

・研究開発税制における税額控除割合の加算

・所得拡大促進税制における適用要件の緩和及び税額控除割合の加算

・中小企業投資促進税制において、中小企業者等及び特定中小企業者等について、

特別償却または税額控除を適用

 

・取得価額30万円未満である減価償却資産について、

年300万円まで損金算入可能(少額減価償却資産の特例)※

→ 以上の中小企業者等に適用される優遇措置の適用なし

 

※但し、少額減価償却資産の特例については、法人が事業年度の途中において増資等により

中小企業者に該当しないこととなった場合においても、その該当しなくなった日前に取得等をして

事業の用に供した少額減価償却資産については、適用が認められます。

 

(8)外形標準課税制度

  法人事業税の外形標準課税の適用なし

→ 法人事業税の外形標準課税の適用あり

 

 

2.資本金1億円以下であっても適用できない場合

なお、期末資本金が1億円以下であっても、次の場合には税制優遇措置の適用ができないため、

留意が必要です。

 

(1)大法人(資本金5億円以上)に完全支配されている場合

 → 1の(1)① ~(6)が適用できません。

 

(2)中小企業者等から除かれる場合

  ①常時使用する従業員数が1,000人超

  ②単一の大規模法人(資本金1億円以上)に発行済株式総数の1/2以上を保有されている

  ③複数の大規模法人に発行済株式総数の2/3以上を保有されている

  ④過去3年間の平均所得金額が15億円超

 → 1の(1)② 及び(7)の特例について一部制限されます。

 

  

<おわりに>

 増資により財務基盤の強化、信用力の向上等のメリットがある一方、

今回まとめたような留意点もあることを考慮しておきたいと思います。(担当:小野)

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