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2012年05月23日 / 投稿者:Hasegawa 自分のアタマで考えよう

先日上場されたライフネット生命保険の出口社長が、雑誌プレジデントで「2011年のビジネス書でNO.1だと思います」と推薦されていた「自分のアタマで考えよう」(ダイヤモンド社)という本をコンビニで見かけ、読んでみた。著者は、“ちきりん”という名前でブログを書き、それが月間100万から150万ページビューを集める、元証券会社勤務で、外資系企業を経てアーリーリタイアを果たした関西出身の女性とのこと。

序章を読んで、きっちりと引き込まれる。
「『知っている』と『考える』はまったく別モノ」というタイトルで、冒頭にプロ野球ファンの年齢別構成比の1970年から2010年への推移のグラフから、“プロ野球の未来”について読み取れることは何かとの問いが。そこで反射的に私の頭に浮かんだ“考え”は、ちきりん氏の想定どおりの答えであった。それは知らぬ間に“過去に得た知識”にとらわれていて、目の前にある“情報に基づく思考の結果”ではないしろもので、まんまと罠に嵌められてしまった。

第8章では「データはトコトン追い詰めよう」というタイトルで、警察庁が公表する自殺の統計データをもとに既成概念とは異なる事実が導かれる。警察の資料では、平成21年度に起きた32,845件の自殺のうち、原因・動機として最も多いのは「健康問題」で48.3%を占め、次いで「経済・生活問題」が25.5%、「家庭問題」が12.5%、「勤務問題」が7.7%と説明されている。ところが、これを男女別に集計し直すと、経済的理由での自殺は女性ではほとんどなく、その9割以上は男性であることが判る。「経済・生活問題」と「勤務問題」を合計して「お金や仕事にかかわる問題」とくくると、これが男性の自殺原因トップになると。なるほどなるほど。

この章の最後では、平成22年のデータによると、経済的理由で自殺した男性が前年比で約900人も減少しているが、それは何故なのか「自分のアタマで考えよう」と宿題が出される。そこで、実際考えてみた。もしかしたら震災前まで経済は回復基調にあったのかも、とか。
あれこれ巡らしていて、ふとひらめいた。いわゆる亀井法案。平成21年12月に施行された中小企業金融円滑化法だ。金融機関が資金繰りに苦しむ中小企業などの返済猶予に応じるよう努力することを定めた法律。金融機関の人からは、こんな法律があったら融資できなくなるとか、弁護士や我々のようなものからは、再生案件が減ってしまう、などと必ずしも評判のよくないイメージもあった。でも、もしも年間900人近い人が自殺しないで済む法律なら、来年3月で終了といわず延長してもよいぞと思った。

しかし、今朝の日経記事のように「潜在的な不良債権の増加につながる」などの懸念から来年3月での終了は確定していて、政府や地方銀行では不良債権化の懸念がある中小企業の再生支援を急いでいるとのこと。会計税務の専門家のはしくれとして、再生に苦しむ中小企業のため少しでも力になりたいと、いや、なろうと決意を新たにしたのでした。よい読書だった。

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