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2013年01月21日 / 投稿者:Hasegawa Real水戸黄門

今日、全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ「2013年本屋大賞」の候補11作品が発表されたようです。その中に「光圀伝」がノミネートされています。関与先の役員さんのお奨めで読み始め、ちょうど今朝読了したのですが、、、スゴイ物語でした。

水戸光圀というとドラマの水戸黄門のイメージでしたが、幕末の尊皇思想の大本となる水戸学の創始者で、いわば明治維新の種をまいた人なんですね。吉田松陰まで繋がっちゃう。

尊敬する兄を差し置いて後継者に選ばれたことを、儒教の教えに照らして「義」に反することと悩み続け、これを解決するあるアイデアを思い立ち命がけで実現しようとする生き様は実に健気で感動しました。若くして父母のみならず妻子や親友とも死に別れてしまう悲劇の人でもあり、さらに手塩にかけて育てた家臣を自ら手打ちにしなければならなかった理由が、この小説の推理のとおりだとすると、「義」を貫くためになんと苦悩に満ちた人生だったのか。助さん、角さんと「かっかっか」と笑っている黄門様とはまるでイメージが変わりました。

ところで、光圀が若いときに、初代会津藩主の保科正之との交流が登場しますが、これがまた筋金入りの名政治家で、若き光圀も大いに尊敬していたようです。この偉大な藩祖の教えを律儀に守り抜いたが故に、幕末この藩の最後は、光圀の思想を受け継いだ者たちによって、悲惨な結末を迎えるという皮肉。

思わぬことに、今年のNHK大河ドラマ「八重の桜」をより深く楽しめる気がしてます。この「光圀伝」も、数年後には大河ドラマに選ばれるだろうな。これまた楽しみ。

この本の作者の冲方丁(うぶかた・とう)さんは、若干35歳。しかも幼少期を東南アジアで過ごした帰国子女らしい。その反動で日本人としてのアイデンティティに不安を抱き、日本語への飢えを満たすために英和・和英辞書を愛読していたとか。

天才は逆境によって育まれるのですね。

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