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2012年02月22日 / 投稿者:Hasegawa おもしろき歴史小説をおもしろく

前回につづき革命家の話から。。。
幕末の志士高杉晋作とその師吉田松陰の物語である「世に棲む日日」(司馬遼太郎/文春文庫 全4巻)を一昨日読み終わりました。高杉は、長州を独立させて、貿易により経済を発展させ、世界の列強国と対等に渡り合おうと構想し行動して、その道筋をつけた後、わずか27歳と10カ月の若さで生涯を終えた人物。辞世の句とされている「おもしろきこともなき世をおもしろく」は、その生きざまをよく現わしていると感じます。また、こんな詩もつくったとのこと。若いのに達観してますね。

神武に起こってより二千年
億万心魂 散って煙となる
愚者英雄 ともに白骨
まことなるかな 浮世の値三銭

(訳)
神武帝以来、二千年。
何億の人間がこの世にでてきたが
かれらはことごとく死に、何億の煙を作って消え
愚者も英雄もともに白骨になった。
まったくのところ、浮世の値段はせいぜい三銭か。

このような境地でありながら、なお命をかけて自身の生きるべき道を切り拓き、人生に意味を持たせようとする生涯に感動しました。これに限らず、歴史上の人物群の物語からは様々な学びや刺激を得ることができますね。とりわけ司馬遼太郎の作品が好きです。

興奮覚めやらぬ翌日、職場の年若の同僚に手当たり次第、「司馬遼太郎はいいよ、歴史小説を読みなさいよ」と押し売りをしたのですが、反応はいまいち。「そこまで押されると逆に読みたくなくなりますね」(T氏)とか「てっとり早く何が書いてあるかわかるようなやつないですかね」(K氏)とか。あまり歴史小説の効能を伝えられず、響かせることもできず、それでもまあいいかと諦めかけていたところ、書店で手にしたで「歴史小説の読み方」という文章をみつけました。

それによると、歴史を単に英雄の物語として読むのではなく、自分がその後の歴史を知らずにその時点に生きていたら、何を思い、感じ、いかに行動できたかを考えて読むべしと。
なるほど。「関ヶ原で勝つためには、石田光成はこうすべきだったんではないかな」とか、「信長から妻子の処刑を命じられ実行する家康は、自分の家族を犠牲にして、徳川家を守ったのかなあ。とすると凄まじい葛藤だったろうなあ。家臣は団結するだろうなぁ。」など、そのときに、その人だったら、自分ならどうするだろうかと想像しつつ読むと、面白さが増してくる気がしますね。そうやって読むことで、1冊読み終えるごとに、なんとなく賢くなった気がしたり。さて、次は何を読もうかな。

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